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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/08/19 12:04, 提供元: フィスコ

平和RE Research Memo(4):3つの強化により、投資主価値の最大化に取り組む(1)

*12:04JST 平和RE Research Memo(4):3つの強化により、投資主価値の最大化に取り組む(1)
■平和不動産リート投資法人<8966>の中長期の成長戦略

1. 中期目標「NEXT VISION II+」
同REITでは、投資口価格の低迷に対応するとともに、株式市場における資本コストや株価を意識した経営を求める声を十分に意識して、2025年5月期からは前中期目標「NEXT VISION II」の一部を改訂し「NEXT VISION II+」として、3つの強化により資本効率を高め、投資主価値を最大化する施策の拡充を図っている。この改訂版を打ち出すことで、低迷していた投資口価格を引き上げたいとの狙いによるものだ。具体的には、「内部成長の強化」では、バリューアップ投資を着実に推進し、賃料収入の成長を加速する。また、「資産回転型戦略の強化」では、投資主還元を目的とした譲渡益獲得の加速、バリューアッド運用により含み益を上回る実現益の創出、将来の内部成長の基礎となる資産の取得をする。さらに、「投資主還元の強化」では、一時差異等調整積立金の取崩し拡大や資産回転型戦略による譲渡益の創出と還元の加速を図る。

3つの強化による改訂版の中期目標として、(1)分配金4,200円、(2)資産規模3,000億円、(3)内部成長として賃料収入年成長率5%(2025年5月期に2%を達成したことから上方修正)とROI10%、(4)格付AA、(5)2030年までにGHG90%削減と再生可能エネルギー電力100%、を掲げている。目標達成に向けては、外部成長として、「着実かつ健全な外部成長」「継続的な入替戦略の実施」「投資機会の拡大・中長期で競争力を有するポートフォリオの構築」「資産回転型戦略の強化とバリューアッド戦略を通じた含み益の創出と顕在化」を目指す。内部成長では、「高稼働率の維持・向上」「賃料増額に向けた取り組み」「付帯収入増加と費用削減」に加えて、「戦略的な「攻め」の資金活用」を掲げる。財務運営では、「財務基盤の強化」「LTVのコントロール」「資金調達手段の多様化」「金融コストの抑制」を図る。また、投資主還元として、「潤沢な内部留保の還元」「フリーキャッシュの活用」「流動性向上」「含み益の顕在化」を計画する。さらに、ESGの向上にも引き続き前向きに取り組む。潤沢な内部留保残高と含み益の活用などの「攻め」の資金活用によって、バリューアップ工事や物件入替によるバリューアッド戦略を推進することで、サステナブルな投資主還元を目指す。今後予想される金利上昇に対しては、内部留保や含み益を活用したバリューアップ工事による賃料増額によってカバーする計画である。これらの投資主還元の強化を中心とする意欲的な目標設定は投資主に高く評価されると弊社では見ており、今後も進捗状況に注目したい。

2. 外部成長戦略
外部成長戦略では、「着実かつ健全な外部成長」「継続的な入替戦略の実施」「投資機会の拡大・中長期で競争力を有するポートフォリオの構築」「資産回転型戦略の強化とバリューアッド戦略を通じた含み益の創出と顕在化」を運用方針としている。「着実かつ健全な外部成長」としては、ポートフォリオの質と収益性の向上に資する物件に厳選投資し、スポンサーと協働することで開発など多様な手法による取得機会の拡大を図ることに加え、フリーキャッシュ及び借入余力を活用した機動的な物件取得を行う。「継続的な入替戦略の実施」としては、低収益物件や小規模レジデンスを優良なオフィスやレジデンスに入れ替えるなど、引き続きポートフォリオの収益力改善を図る。「投資機会の拡大・中長期で競争力を有するポートフォリオの構築」としては、基本的にはオフィスとレジデンスに投資するが、マーケット需要の変化・社会的ニーズへの対応として、ヘルスケア施設やホテルなどへの投資機会を拡大する方針だ。2025年5月期も、公募増資と借入余力の活用による取得や資産回転型戦略を着実に実行している。すなわち、公募増資により8物件を鑑定評価額の83%で取得して大きな含み益からスタートするとともに、4物件の譲渡により41億円の譲渡益を計上し、売却益は投資主還元としての分配金、内部成長を生むバリューアップ投資、及び内部留保に活用している。

同REITのスポンサーである平和不動産はオフィス及びレジデンス開発を積極的に展開しており、同REITはその中から物件を取得している。2025年11月期の期初に実施した5年連続となる公募増資により、平和不動産のパイプラインから販売用不動産のうちオフィス1物件、レジデンス1物件を取得した。このように平和不動産の販売用不動産のストックは、将来の同REITの外部成長を支えている。加えて、同REITでは、普通借地権を活用したパイプラインの構築に取り組んでいる。スポンサーである平和不動産との協業により、借地権のデメリットを克服し、メリットを最大限に享受できるスキームを構築できるのが強みである。また、共有物件・区分所有物件の追加取得によって、ポートフォリオ価値の向上にも取り組んでいる。2024年6月には、北浜一丁目平和ビル(大阪市中央区)のスポンサーからの追加取得による完全保有化(所有割合100%)によって鑑定評価額が1.6億円増加した。今後も公募増資による資産規模の増加、DPUやNAV(純資産価値)の成長、LTVの引き下げを推進し、レバレッジを活用した成長余力の確保を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


《HN》

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