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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/08/19 12:01, 提供元: フィスコ

平和RE Research Memo(1):「NEXT VISION II+」では、賃料収入年成長率2%の目標を達成

*12:01JST 平和RE Research Memo(1):「NEXT VISION II+」では、賃料収入年成長率2%の目標を達成
■要約

平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産<8803>グループの投資法人であり、中小規模の事業所が集中し、人口増加傾向が続く東京都区部を中心に、オフィス及びレジデンスに集中的に投資する複合型REITだ。全国各地の証券取引所やオフィスビルを所有・賃貸し、日本橋兜町・茅場町の再活性化及び札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業を幅広く展開している平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが、同REITの大きな強みである。

1. 2025年5月期の業績概要
2025年5月期(第47期)は、営業収益10,154百万円(前期比12.3%増)、営業利益5,556百万円(同18.4%増)、経常利益4,882百万円(同19.1%増)、当期純利益4,881百万円(同19.1%増)であった。営業収益及び各段階利益は、おおむね2025年4月10日公表の修正予想どおりの着地であった。内部成長では、賃料収入年成長率は「NEXT VISION II+」で掲げた2%目標を達成し、ポートフォリオ稼働率は高稼働が継続した。外部成長では、公募増資による外部成長と、資産入替による含み益の顕在化のサイクルを継続した。財務運営では、調達期間・金利固定化比率などにおいて、健全な財務基盤を維持した。以上から、賃貸EPU(譲渡益及び内部留保充当額を除いた1口当たり分配金(DPU)に、バリューアップ関連費用を足し戻して計算)は、金融費用がオフィス、レジデンスの内部成長及び外部成長の寄与を上回り、2,685円(前期比25円減)であった。しかし、投資主還元の強化方針として、資産入替に伴う含み益の顕在化による譲渡益計上に加えて、期当たり200円/口の一時差異等調整積立金の取崩しにより、DPUは3,850円(同210円増)と19期連続で過去最高水準を更新した。分配金の大幅増加は、従来以上に「投資主還元の強化」に経営の軸足を置いた結果であった。着実な成長に加え、潤沢な内部留保と含み益を有することで、継続的な物件取得、財務基盤の安定化、安定的な分配金支払いなどを可能にしている。

2. 2025年11月期と2026年5月期の業績見通し
2025年11月期(第48期)は、営業収益10,648百万円(前期比4.9%増)、営業利益5,928百万円(同6.7%増)、経常利益5,161百万円(同5.7%増)、当期純利益5,161百万円(同5.7%増)を、また2026年5月期(第49期)は、営業収益8,674百万円(同18.5%減)、営業利益4,002百万円(同32.5%減)、経常利益3,202百万円(同38.0%減)、当期純利益3,201百万円(同38.0%減)を見込む。その結果、賃貸EPUは2025年11月期2,633円(同52円減)、2026年5月期2,726円(同93円増)を見込む。金融費用の増加を賃料上昇で補い、物件譲渡による賃貸利益の剥落を公募増資による成長資産の取得によりカバーする計画だ。また、DPUは「投資主還元強化」の方針に基づき、内部留保取崩しによって2025年11月期3,950円(同100円増)、2026年5月期3,990円(同40円増)と、過去最高水準の更新を予想する。これらの予想は今後発生する物件譲渡益や物件取得は織り込んでおらず、保守的な稼働率やNOI利回り(実質利回りとも言う、実績賃貸業利益(年換算)/((期初帳簿価額+期末帳簿価額)÷2)×100で計算)を前提にしていることから、十分に達成可能であると弊社では見る。

3. 中期目標と成長戦略
同REITでは、2025年5月期から「NEXT VISION II+」として、3つの強化により資本効率を高め、投資主価値を最大化する施策の拡充を図っている。すなわち、「内部成長の強化」では、バリューアップ投資を着実に推進し、賃料収入の成長を加速する。「資産回転型戦略の強化」では、投資主還元を目的とした譲渡益獲得の加速、バリューアッド運用により含み益を上回る実現益の創出、将来の内部成長の基礎となる資産の取得、を推進する。「投資主還元の強化」では、一時差異等調整積立金の取崩し拡大や資産回転型戦略による譲渡益の創出と還元の加速を図る。

これらの取り組みにより目標を、(1)分配金4,200円、(2)資産規模3,000億円、(3)内部成長として賃料収入年成長率5%(従来目標の2%を達成したことから上方修正)とROI10%、(4)格付AA、(5)2030年までにGHG(温室効果ガス)90%削減(2018年比)と再生可能エネルギー電力100%、を掲げている。目標達成に向けては、外部成長として、「着実かつ健全な外部成長」「継続的な入替戦略の実施」「投資機会の拡大・中長期で競争力を有するポートフォリオの構築」「資産回転型戦略の強化とバリューアッド戦略を通じた含み益の創出と顕在化」を目指す。内部成長では、「高稼働率の維持・向上」「賃料増額に向けた取り組み」「付帯収入増加と費用削減」に加えて、「戦略的な「攻め」の資金活用」を掲げる。財務運営では、「財務基盤の強化」「LTV(総資産有利子負債比率)のコントロール」「資金調達手段の多様化」「金融コストの抑制」を図る。また、投資主還元として、「潤沢な内部留保の還元」「フリーキャッシュの活用」「流動性向上」「含み益の顕在化」を計画する。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の向上にも引き続き前向きに取り組む。

潤沢な内部留保残高と含み益の活用などの「攻め」の資金活用によって、バリューアップ工事や物件入替によるバリューアッド戦略を推進することで、サステナブルな投資主還元を目指す。今後予想される金利上昇に対しては、内部留保や含み益を活用したバリューアップ工事による賃料増額によってカバーする計画である。投資主還元の強化を目指す目標設定は投資主に高く評価されると弊社では見ており、今後の進捗状況に注目したい。

■Key Points
・2025年5月期は物件譲渡益が寄与し、増収増益決算。譲渡益の計上と一時差異等調整積立金の取崩しにより、DPUは19期連続でスポンサー変更後の最高水準を更新
・2025年11月期及び2026年5月期は、今後発生する譲渡益は見込まないが、引き続き譲渡益の計上により内部留保の充当をカバーしていく方針で、内部留保の還元強化によってDPUの最高水準更新を予想
・「NEXT VISION II+」では、分配金、資産規模、格付け、ESGなどの目標について、特に投資主価値を最大化する施策を拡充。分配金の大幅増加を目指す目標設定は、投資家に高く評価されると見る

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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